富山県産トウキの概要
トウキの基礎知識
分類 | セリ科シシウド属の多年生植物 |
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生薬名 | トウキ(生薬名:当帰) 日本薬局方ではオオブカトウキ(大深当帰)とホッカイトウキ(北海当帰)とあるが富山県ではオオブカトウキを栽培しています。 |
利用部位 | 根 |
生薬成分 | 精油0.1~0.3%(リグスチルド、ブチリデンフタライド、等) |
エキス含量 | 希エタノールエキス 35.0%以上 |
処方 | 主として漢方処方薬で、婦人薬、冷え症薬、保健強壮薬、精神神経用薬、尿路疾患用薬、十全大補湯、加味逍遙散、当帰芍薬散、補中益気湯などその他多くの漢方処方に使用されている。 |
富山県で主に栽培されている品種と特性
品種 | オオブカトウキ(大深当帰) |
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特性 | 2年生夏期抽苔株の地際から頂端までの草高は約60cm以下で、葉柄食はアントシアニンの着色により濃紫緑色を呈する。栽培適地はやや冷涼な日当たりがよく、排水良好、肥沃な土地。 |
トウキの生育と主な管理作業
播種~出荷までの栽培の流れ 年間スケジュール
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育苗・定植
育苗
播種適期 | 3月下旬~4月上旬 |
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播種量 | 200ml/a |
留意点 | ヨトウムシの食害を避けるため、5月下旬にはある程度苗を生育させるよう作業する。 定植用に苗は、薬用植物指導センターから購入することもできる。 |
種子消毒 | ベノミル水和剤(ベンレートT水和剤20) |
育苗床の整畦 | 畦幅100cm、畦高20cm、畦間20cmで横雁木播きする。 |
播種・覆土後の管理 | 乾燥防止のため黒の寒冷紗をベタ掛けする。 |
育苗期の除草 | 1回目 本葉展開後に寒冷紗を取り除き、手取り除草を行う。 2回目以降 6月~7月上旬、9月上旬に行う。 |
過剰生育の抑制 | 8月以降葉高が15cm以上に成長した場合は、それ以上生育させないために地上5~7cmの所で上部を切り落とす。 |
掘り取り・苗調整 | 翌年3月の雪解け後に行う。 |
定植
定植本数 | 10aあたり苗5000本 |
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畦づくり | 水田転換畑の場合;畦幅65~70cm、畦高20cm、畦間50cm 畑の四隅に開渠を作り、水はけをよくする。 排水良好な畑地の場合は畦高10cmでよい。 |
定植方法 | 3月~4月上・中旬 |
苗の選別 | 苗は大苗、中苗、小苗に区分される。 |
鉛筆上の苗の頭部の直径が5~8cmの中苗を選び、株間25cmでチドリ植えとする。畦の中心に根の先端を向かわせるように寝かせ、根頭が隠れるように植えるのがポイント。ね頭が8mm以上の大苗では抽苔(花が咲く)しやすく、成長が止まるのでそのままでは用いない。抽苔させないために芽の部分を繰り抜き「芽繰り苗」に加工する。これには高度な技術が必要で失敗すると抽苔は枯死する。小苗は収量が少なくなる。
抽苔した株は夏期に結実後、枯死する。花茎を落としても新たな花茎を上げる。さらに、通大した株の根は木質化して製品にすることができなくなる。
定植圃場の肥培管理
施肥の目安 | 10aあたりN:6~8kg、P:8~14kg、K:6~7kg |
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施肥の留意点 | 三洋酥中窒素の施用が大切で、「硫安」または「油粕類」が用いられる。 |
栽培地域の土壌や気象条件により施用量の調整が必要である。窒素肥料は、基肥と追肥に分けて施用するとよい。即効性窒素肥料を9月頃に施用する。生育初期に多量の窒素肥料を施用すると地上部はよく繁茂するが、根部の生育が悪く抽苔が増加する傾向がある。
定植前後の雑草対策
- 除草剤の利用 トウキで登録のある除草剤(リニュロン水和剤)
- 白黒マルチ(裏面黒)の利用
根の成長には好ましくない。
年3回の手取り除草ができる場合はマルチを使用する必要はない。 - ワラの利用 社交による雑草生育抑制、保湿・保温効果が期待できる。
病害虫被害と防除
病気・害虫の対策にはトウキで登録のある薬剤を使用する。
収穫・調整・出荷
- 収穫・はさ掛け
11月に入り葉の先端部が黄ばみ始めたころで比較的土壌が乾いているときに掘り出し、土を叩き落とし手から茎葉の部分を合わせて数株束ねて軒下等にはさ掛け乾燥させる。 - 根の水洗・湯通し・乾燥(2~3月に入り、寒さが緩んだ頃に根の水戦・湯通しを行う。)
作業1:半渇きになったねと歯を切り離す。この際根頭部に葉鞘分が残らないように注意する。
作業2:根は柔らかくなるまで水に戻し、タライの中で揉み洗いし細根の中の土をきれいに洗い出す。
作業3:40°のお湯に7~8分間浸し、再びお湯をかけて揉み洗いしながら土の洗い出しと整形を行う。
作業4:湯新井が終わったら、棚に並べて仕上げ乾燥する。雨がかからない風通しの良いところで乾燥し、根が重なってカビが発生しないよう時々裏返して注意しながら根が固くしまるまで十分に乾燥する。 - 出荷
乾燥が終わったら麻袋等空気の通る袋に外側に頭根部が来る郎にして、10kg程度に計量しながら詰め込む。出荷するまで乾いたところに保管する。