富山シャクヤクとしてのブランド

富山ブランドシャクヤク

富山県では薬用植物指導センターで栽培しているシャクヤクの中から、優れた品種を探し出し「富山シャクヤク」としてブランド化を図り、栽培普及と利用促進を目指しています。
現在国内で流通している薬用シャクヤクの約9割は安価な中国産であり、中国では経済成長を続けている中で需要増が進み、価格の高騰がさらに進んでいくなかでいよいよ輸入量の減少となるリスクが現実的になってきています。価格・供給の安定が今まで以上に期待されています。高品質で安心の富山県産シャクヤクを使用した製品づくが期待されています。 薬用植物指導センターでは優秀な薬用品種として「梵天」(ぼんてん)があり、これと比較したデータを収集しています。
平成22,23年からまず62品種について薬理試験と成分分析を行い、その結果に基づいてペオニフロリン含量が十分に高く、優良薬用品種とされる「梵天」よりも薬効が強い可能性のある6品種をブランド候補品種として一次選抜しました。
平成24年度から26年度までは、6品種の中から生産性や商品性も良好で高い薬効が期待できる品種を絞り込むため、同じ生育条件下で栽培を行い、4年栽培の25年産「梵天」と薬効の評価成分の分析を実施し、品質の安定性・再現性を検討した。栽培面・成分分量・生物活性の観点から、ペオニフロリンを3.0%以上含量し、十分な薬効が期待できるブランド候補を確認しました。
平成27年度からは主として栽培普及・利用促進のための事業を進めています。

成分分析及び薬効評価

薬効評価結果

(1)マウス精管での電気刺激収縮抑制作用

電気刺激収縮抑制作用抑制作用が見られた場合鎮痙鎮痛作用を有する可能性があり、こむら返りや腹痛に対する改善効果のあることが期待される。

結果:品種1~6は梵天とほぼ同程度の活性であった。

(2)血管弛緩作用

ラット胸部大動脈を用いた実験での血管弛緩作用

結果:品種1,4,6は梵天とほぼ同程度の活性であった。

(3)抗炎症作用

マクロファージ培養細胞株を用いた実験での抗炎症作用

結果:品種1~6は梵天とほぼ同程度の活性であった。

(4)鎮痛作用

マクロファージ培養細胞株を用いた実験での鎮痛作用
IC50値は値が小さいほど活性が強いことを意味する。

結果:品種6を除く5品種は梵天と同程度又は活性が強い可能性がある。

(5)抗酸化作用

安定ラジカル化合物DPPHを用いた抗酸化作用
EC50値が小さいほど活性が強い

結果:品種6を除く5品種は梵天と同程度又は活性が強い可能性がある。

成分分析結果

エキス収率%


結果:H25年産4年栽培品梵天より品種1~6はいずれも高い収率を得ました。

平成25年度の梵天の成分含量を示す。

梵天25年度
没食子酸 0.06
オキシペオニフロリン 0.14
カテキン 0.12
没食子酸メチル 0.46
アルビフロリン 0.69
ペオニフロリン 2.54
ペンタガロイルグルコース 0.87
安息香酸 0.06
ベンゾイルペオニフリリン 0.10

品種1~6のペオニフロリン含量はいずれも3.0%以上あり梵天と比較して十分に高い品種である
品種2,5,6はアルビフロリン値がほとんど含まず品種3は梵天と同じため望ましくない品種とした
品種1,4の成分含量を平成25年度梵天の成分値を1として比較

 梵天25年度の数値を1とする  梵天  品種1  品種4
 最小値  最大値  最小値  最大値
 没食子酸  1  0.29  0.35  0.29  0.30
 オキシペオニフロリン  1  1.35  1.59  2.15  2.42
 カテキン  1  4.09  5.56  2.27  3.82
 没食子酸メチル  1  0.36  0.45  0.32  0.36
 アルビフロリン  1  1.39  2.57  1.32  1.80
 ペオニフロリン  1  1.28  1.65  1.33  1.62
 ペンタガロイルグルコース  1  0.29  0.43  0.38  0.54
 安息香酸  1  0.49  1.20  0.54  0.66
 ベンゾイルペオニフリリン  1  0.37  0.57  0.38  0.42

品種1の成分含量を平成25年度梵天の成分値を1として比較

品種4の成分含量を平成25年度梵天の成分値を1として比較

まとめ

選抜種のペオニフロリン含量は局方下限の2.0%を超えて3.0%以上であり品質安定性(再現性)が確認された。薬効評価については梵天とほぼ同等又は一部のインビトロの試験では梵天よりも活性が強い可能性が見られ、アルビフロリンを十分に含む品種は流通の点から好ましい品種と考えられた。
第1候補品種については、臨床研究用に局方規格に適合する製品が作られ、アルビフロリン・カテキンが多いという成分特性を有する品種である。
平成27年度から平成29年度までの事業では、十生産規模での調整課広報などを確立し、高品質の生薬の安定供給体制に向けて調査研究を子なっていく予定である。

参考文献
平成27年度富山県薬事研究所年報 富山シャクヤクのブランド化推進事業報告(平成24-26年度)選抜品種の特性比較より

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